長らく更新せずすみませんでした。+a crossing の記念すべき第10回は、光森裕樹さんです。どうぞお読みください。
乾びたるベンチに思ふものごころつくまで誰が吾なりしかと
最初の記憶
ものごころ躰に注がれゆく音を土鳩のこゑとして聞いてゐた
いつの日のいづれの群れにも常にゐし一羽の鳩よ あなた、でしたか
短歌評は、荻原裕幸さんです。10月27日(月)に掲載予定です。光森裕樹(みつもり・ゆうき) 1979年兵庫県生まれ。所属誌なし。第54回角川短歌賞受賞。
富山市在住・歌人
同一性(イダンティテ)とか、デフィニールとか、あなたのあなた(二項関係)とか、その辺りを巡る思索を感じた。形式としては、三首目の最後「あなた、でしたか」で文言一致の文体に変えられている。アナクロニズムを装飾に利用していると思う。その点で、ラターのレクイエムのカデンツに似ていると思った。(例えば http://jp.youtube.com/watch?v=UMyiCip_oX0 の 0:00~1:30) 視覚的には、主体はベンチに座って鳩を眺めたままの設定で、動きがない。敢えて動かさないことでユーモアを醸し、敵ではないことを伝えてもらっているのかどうか、「それはわしも知らない。」
二首目はブートストラップの妙を感じた。
投稿情報: (た) | 2008年11 月 6日 (木) 22:18