a crossing 第6回の歌人は、花山周子さんです。
一読すればこの世のことではないかのようなことがらを、この世にしっかり結びつけている面白い作品です。
短歌3首*花山周子
ねむりながら顔がくぼんでゆく人が引力となりわれは見下ろす
クリスマスケーキに載っていたものは仁丹なのか疑問に思う
みずたまりのように蒸発してしまう行き止まりにわが今立てる
*
花山周子(はなやま・しゅうこ)
1980年5月18日生まれ。1999年「塔」に入会。2007年8月第一歌集『屋上の人屋上の鳥』(ながらみ書房)を上梓。2008年ながらみ出版賞を受賞。
歌評は、未来短歌会の高田祥さんの予定です。
意地を通せば窮屈だので、つまみ食いでいきます。
第二首。最近、薬局に行ったら仁丹を見つけた。銀色なんですね。赤いのと緑のしか知らなかったので、やっとピンときた。私はケーキに載っていた“アレ”を宇津救命丸かと「疑問に思」っていたから、“アレ”の場違いな雰囲気を共感できた気がする。
投稿情報: (た) | 2008年10 月28日 (火) 16:01